今日はまた勝手に感想をつらつらと述べる日です。
先週金曜日に買った、「少女七竈と七人の可愛そうな大人」であります。
よく考えたら273Pを四日ほどで読破していたようです。
早いのかな遅いのかな。
ネタバレあるかもしれないっす
我輩「恋愛小説」と銘打ってあるものは苦手なんでありんす。
が、この「少女七竈と~」は、表紙に惹かれたことと
最近では恋愛小説でも読んでみたいなと心境が変化したため、
思い切って購入してみました。
まず最初は少女七竈の母となる、川村優奈の語りから始まります。
25歳で教師をしていて、平々凡々すごしている優奈に突然変化が訪れます。
ちょっと「下」の話ですが男遊びをしなければならない衝動に駆られるのです。
その衝動は一度ではおさまらず、ついぞ七人と事を成します。
(通算ではとても七人ではおさまりませんが)
結果、どれが父親かわからぬ、少女七竈(ななかまど)が誕生するのであります。
七竈っつーのは木の名前ですね。
七竈の実は七回、竈で焼いても炭にならないほど硬いんだとか。
風変わりな名前の七竈は風変わりな美少女に成長します。
幼馴染の少年・雪風(ゆきかぜ)との日々を何事もなく過ごしていくのでありますが・・・。
もともと、美しい顔立ちをした二人は町を歩けば視線を集めました。
ところが話が進むにつれて、その視線のなかには別の理由も混ざっている
のであろうことが少しずつじわじわと明かされていきます。
二人は、とてもよく似た顔立ちをしていたのです。
それはそれは、大層よく似て育ってしまったのです。
父親に似た雪風や、父親に似た雪風の妹と、兄弟だと間違われてしまうくらいに。
そして美少年である雪風を慕う、緒方みすずとの会話を機に、
七竈は雪風への想いに気付いてしまうのです。
雪風は言います。
「君がこうも美しく育ったのは、母がいんらんであったからだ」と。
特に美形だったわけではない優奈から、美しい七竈が産まれた理由。
それは母がいんらんだったときに産まれた子どもだから。
母がいんらんのときにできた子どもは、美しく育つのだ、と。
決して、我らの呪われた「繋がり」のせいではない。
と言いたかったんだな、と解釈した瞬間、私も雪風にノックアウトでした。
胸キュン!!!!!!!
これはもう、七竈と雪風がとても風変わりな二人で、
そのキャラクターが微笑ましくて仕方がありませんでした。
なんというか、ゆるやかな物語を、感情の起伏少なく、
しっとりじっくり読ませてもらっている感じでした。
ラストは切なく、しかしどうにもならないんだろう、と現実を思わされます。
事実は小説より奇なり、ですが、この小説は現実よりも現実的です。
それはまぁラストだけですが。
文章から人物たちの意思がすんなり伝わりました。
たとえば、「好き」と言ってないのに、そういう表現でもないのに
あ~好きなんだねぇ、みたいな。
すんなり伝わり、とてもわかりやすいのでやっぱり上手なんですねぇ作者さん。
桜庭一樹という作者さんですが、このお名前は覚えておこうと思いました。
ネタバレが過ぎましたかね。
これは久しぶりにお値段以上の価値ある本だと思いました。
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